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ラブラドール

 ラブラドール・リトリバーは1800年代にカナダのニューファンドランド島にいた犬とされています。 黒くて大きなその犬は、比較的大型の方は陸地で荷物運びを手伝い、小さめの方は漁師が水揚げの時に船からこぼした魚の回収と運搬を手伝っていました。
 大きい方の犬はその後マスチフなどと交配されてより大きくなり、ニューファゥンドランドと呼ばれる犬種になりました。
 小さい方の犬は船に乗ってイギリスに渡り、ラブラドールという名前になりました。 ラブラドールというのはニューファンドランド島にある半島の名前です。
 漁師の手伝いをしていただけあって非常に水が好きで、泳ぎが達者です。
 物を運ぶのも大好き、凍った海を泳いでいた犬なので寒さには強いですが、短毛なのに暑さには弱いです。 

 ラブは元々黒だけでしかも相当気の荒い犬でした。
 あるイギリスの貴族が飼っていたラブで、体型・性能共に素晴しく、しかもめちゃくちゃ気の荒い犬がいましたが、その犬の子供になぜか黄色の犬が多数出たのです。 それがイエローラブの元になっています。
 ラブが今のように穏やかな犬種になったのはイギリスのブリーダーの努力の賜物だそうです。
 ラブの雄は後ろ足で地面を蹴る動作をする犬が多いですが、これは気の強い縄張り意識の強い犬の特徴の一つです。 この辺りに気が荒かった名残があります。
 アメリカでは今でも咬傷事故を起す犬のベスト3に入っているそうで、そのほとんどが成犬雄同士の戦いだそうなので、3才以上のラブを飼っている人はその辺りを少し注意した方が良いと思われます。
    
 ラブは元々イギリスで改良された犬ですが、アメリカに渡って人気犬種になりました。 ここ5年間ずっと人気ナンバー1です。
 アメリカに行ったラブはアメリカ人好みに改良され、アメリカ系のラブはイギリス系に比べると足が長くスマートになりました。  現在日本ににいるラブはアメリカ系が主流でイギリス系に比べると一回り小型です。
 また、ラブはショー系統の犬とフィールド系統の犬に大別され、ショー系統のラブはおっとりとし、フィールド系統の犬は活発で運動神経抜群です。 イギリス系でも英国王立犬舎系などはフィールド系なので比較的小柄で素晴らしい運動神経をしています。 JKCのスタンダードよりPD(日本警察犬協会)のスタンダードの方ががっしりしたタイプが多いようです。 JKCのスタンダードは最近アメリカ風に細身のラブを好むようになってきました。
 日本の盲導犬はイギリスから来たショー系統の犬が元になっているものが多いようです。
 フリスビーやアジリティーをやらせようと思うならフィールド系、盲導犬のように落ち着いた犬を求めるならショー系の家系の犬を探すほうが無難でしょう。

 ラブは非常に頭が良く、優しい性格です。 人間に対する攻撃性は0に近く愛想がよく、誰にでもなつきます。 裏を返せば人間なら誰でも良いという面があり、飼い主にしかなつかない日本犬と対照的です。
 頭が良いということは、言われたことをそのまま実行するという意味ではなく、自分で考えて判断するので、飼い主がしっかりしていないと、分かっているのに言うことを聞かない、という羽目に陥ります。

 子犬はどの犬種でもいたずらなものですが、ラブの子犬の元気さ、いたずら好きは、頭の良さ・好奇心の強さ・活発さと三拍子揃っていますので天下一品です。 「盲導犬のような犬」と思って飼われた方はここで不安にかられるようです。 現に「うちのラブは気が狂っているのかと思った」とか「ラブの偽物をつかまされたと思った」というお話を再三聞いています。
 しかしどんなに暴れん坊でも、ラブは、基本的には室内犬です。
 私の手元にある「世界の犬図鑑」の中で、「他の犬種のように鎖で繋いで飼うのは不適当」と書いてあるのはラブだけでしたし、実際、庭に放し飼いにしていたり、鎖に繋がれているラブは、ラブ本来の頭の良さや優しい性格が現われにくいようです。 やたらよく吠えるとか、飼い主や他の犬に噛み付いたとか、良く無い噂を聞くと、ほとんどが外飼いのラブです。とにかくいつでも人間の側にいたい犬で、人間と長く離れていると不安に陥るので、出来るだけ室内で家族として一緒に生活してあげて下さい。

 ラブはほとんど吠えない犬種ですが環境等により吠えることを覚えてしまうこともありますし、成犬になるに従って雄犬は縄張りの意識が強くなり、他の犬に向かって吠えることが多くなります。
 ラブは鼻がよくきき、拾い食いや、雄犬の場合は臭い拾いに苦労します。
 また、非常に好奇心が強く、しかも臆病ではないので、リードを離すと呼び戻しに苦労します。

 ラブラドールのスタンダードは、まっすぐな背中、まっすぐな太いオッターテイルと呼ばれるかわうそのような尻尾です。 くるっと尻尾の先が曲がってしまうのはスタンダードから外れています。
 頭はおでこが広くがっしりとし、耳は頭部の後方で、耳を寝かせていると耳が無いように見える時もあります。 半立ちの耳はいけません。
 前足も後ろ足も骨太で逞しいです。 胸はビヤ樽のように大きく幅広く、上から見ると長方形に見えます。
 色はブラックラブの場合、真っ黒でなくてはならず、胸に小さな白い斑点だけは認められます。
 イエローラブではパールイエローと呼ばれるほとんど白のような色からミルクティー色コーヒー色と幅広く家のラブは背中と耳が色が濃く脇が白くて食パン色と呼ばれています。(これは正式な呼び名ではなく、私が命名した呼び名です)
 丁度黒と黄色の中間色チョコレート色もいますが数は少ないです。 ブラックの両親からイエローが生まれたり、その反対のこともよくあります。 ただ、イエロ−同士の交配が長く続くと色素が薄くなってきて鼻の色が褪せてきます。 冬、ウインターノーズといって鼻がレバー色に変わってしまうことがありますが、夏は黒く戻るのがスタンダードです。 鼻は全体が真っ黒でなくても、鼻の付け根が黒であれば多少退色していても(ショーで)許されます。


  (C)Makiko Yamaguchi
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